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バーンダウンチャートとは?見方や読み方、バーンアップチャートとの違いを初心者向けにわかりやすく解説【図解付き】

クマノくらげ

はじめに

スクラムやアジャイル開発について勉強していると、バーンダウンチャートという言葉が登場します。

バーンダウンチャートは、スプリントなどの期間内に残っている作業量を、グラフで確認するための道具です。

しかし、初めてグラフを見る方にとっては、

  • なぜ線が右下がりになるのか
  • 横軸と縦軸は何を表しているのか
  • 理想線より上にあると遅れているのか
  • 実績線が途中で増えることはあるのか
  • 作業中のタスクはどのように扱うのか
  • ベロシティやガントチャートとは何が違うのか
  • スクラムでは必ず作らなければならないのか

といった点が分かりにくいのではないでしょうか。

バーンダウンチャートを一言で表すと、

「期間内に残っている作業量が、時間の経過とともにどう減っているかを表すグラフ」

です。

グラフを見ることで、スプリントの終了までに作業が完了しそうか、作業が停滞していないか、途中で作業量が増えていないかを確認できます。

ただし、バーンダウンチャートは、チームや個人を評価するための成績表ではありません。

現在の状況を見えるようにし、問題を早く発見して、今後の計画を調整するために使います。

この記事では、バーンダウンチャートの意味、基本的な見方、作り方、グラフの形から分かること、ベロシティやバーンアップチャートとの違いについて、会話を中心に初心者向けにわかりやすく解説します。

この記事でわかること

バーンダウンチャートとは?
バーンダウンチャートの基本構成
バーンダウンチャートの簡単な例
バーンダウンチャートの更新方法
バーンダウンチャートの見方
バーンダウンチャートで分かること
スプリントバーンダウンチャートとは
バーンアップチャートとの違い
ベロシティとの違い
ガントチャートとの違い
カンバンボードとの違い
進捗率との違い
バーンダウンチャートが向いている場面
ITパスポート・基本情報・応用情報でのバーンダウンチャート

バーンダウンチャートとは?

バーンダウンチャートは、決められた期間の中で、残っている作業量がどのように減っているかを表すグラフだよ。

作業が終わるたびに、線が下がっていくの?

そう。最初は残作業が多く、作業が完成するにつれて残りが減るから、基本的には右下がりのグラフになるんだ。

バーンダウンチャートは、英語でBurndown Chartと書きます。

「burn down」には、燃やして減らすという意味があります。

積み上がっている作業を、期間内に少しずつ減らしていくイメージから、バーンダウンチャートと呼ばれます。

一般的なバーンダウンチャートでは、次の二つを軸にします。

表すもの
横軸日数などの時間経過
縦軸残っている作業量

グラフには、理想的に作業が減った場合の線と、実際の残作業量を表す線を描くことがあります。

夏休みの宿題で例えると

夏休みの宿題で考えてみよう。

夏休みが10日間あり、合計50ページの問題集を終わらせるとします。

毎日5ページずつ進めれば、次のように残りのページ数が減っていきます。

残りページ数
1日目45
2日目40
3日目35
4日目30
5日目25
6日目20
7日目15
8日目10
9日目5
10日目0

これをグラフにすると、50ページから0ページへ向かって右下がりになります。

この順調に進んだ場合の線が、理想線のイメージです。

しかし、実際には次のようなことが起こるかもしれません。

  • 1日目は宿題をしなかった
  • 2日目に10ページ進めた
  • 途中で追加の宿題が出た
  • 難しい問題に時間がかかった
  • 最終日にまとめて完成させた

この実際の進み方をグラフにしたものが実績線です。

理想どおりに進んでいるかだけでなく、どこで止まったかも分かるんだね。

そう。大切なのは、線の形を見て、なぜその状態になったのかを考えることだよ。

バーンダウンチャートの基本構成

バーンダウンチャートは、主に次の要素で構成されます。

  • 横軸
  • 縦軸
  • 理想線
  • 実績線

横軸

横軸は、時間の経過を表します。

スプリントバーンダウンチャートであれば、スプリントの日数を置くのが一般的です。

例えば、2週間のスプリントで営業日が10日間の場合、横軸には1日目から10日目までを設定します。

1日目 → 2日目 → 3日目 → … → 10日目

縦軸

縦軸は、残っている作業量を表します。

作業量を表す単位には、次のようなものがあります。

  • タスク数
  • ストーリーポイント
  • 見積時間
  • 残作業時間
  • バックログ項目数
単位特徴
タスク数分かりやすいが、タスクの大きさの違いを表しにくい
ストーリーポイント作業量や複雑さを相対的に表せる
時間直感的だが、残時間を頻繁に見直す必要がある
項目数簡単だが、大きい項目と小さい項目を同じ1件として扱う

どの単位を使うかは、チームの見積方法や目的によって異なります。

理想線

理想線は、作業が期間内に一定の割合で減った場合の目安を表す線です。

通常は、スプリント開始時の残作業量から、スプリント終了日の0へ向けて直線を引きます。

例えば、10日間で50ポイントの作業を終える場合、1日当たり5ポイントずつ減る線になります。

毎日、必ず同じ量を終わらせなければいけないの?

違うよ。理想線は、実際に毎日同じ量を完成させる命令ではなく、進み方を確認するための目安だよ。

実際の開発では、作業の大きさや難しさが異なるため、実績線がきれいな直線になることはほとんどありません。

実績線

実績線は、その時点で実際に残っている作業量を表します。

作業が完成すれば下がり、新しい作業が追加されたり、見積りが増えたりすれば上がることがあります。

実績線から、次のような状況を読み取れます。

  • 作業が順調に減っている
  • 数日間、残作業が変化していない
  • 終盤に作業が集中している
  • 途中で作業量が増えている
  • 予定より早く完了している

バーンダウンチャートの簡単な例

2週間、10営業日のスプリントで、最初の残作業量が50ポイントだったとします。

理想的な残作業実際の残作業
開始時5050
1日目4550
2日目4045
3日目3543
4日目3038
5日目2532
6日目2030
7日目1522
8日目1015
9日目57
10日目00

この例では、序盤は理想線よりも残作業が多くなっています。

しかし、後半に作業が進み、最終的には0になっています。

途中では遅れて見えるけれど、最後には終わっているね。

そう。グラフの一部分だけで評価せず、作業の内容やスプリントゴールも一緒に確認する必要があるよ。

バーンダウンチャートはどのように更新する?

バーンダウンチャートは、定期的に残作業量を確認して更新します。

スプリントバーンダウンチャートでは、1日1回更新することが一般的です。

ツールによっては、タスクやバックログ項目を完了にすると、自動で更新されます。

手動で作成する場合は、次のような流れになります。

  1. スプリントの期間を決める
  2. 開始時点の作業量を合計する
  3. 横軸に日付を設定する
  4. 縦軸に残作業量を設定する
  5. 理想線を引く
  6. 毎日の残作業量を記録する
  7. 実績線を結ぶ

作業中のタスクは、少し進んだ分だけ減らすの?

使っている単位やチームのルールによるけれど、完成した項目だけを減らす方法も多いよ。

例えば、8ポイントのバックログ項目が80%まで完成していても、完成の定義を満たしていなければ、残作業を8ポイントのまま扱う方法があります。

この場合、成果が完成した日に実績線が大きく下がります。

「完成した作業だけ」を減らす理由

作業の進捗を「80%完了」のように表すと、実際には何が使える状態なのか分かりにくくなることがあります。

例えば、

  • プログラムは書いたがテストしていない
  • 画面はできたがデータ保存ができない
  • コードレビューが終わっていない
  • 重大な不具合が残っている

という状態でも、「ほぼ完成」と報告される可能性があります。

そこで、完成の定義を満たした項目だけを完了として扱えば、実際に利用可能な成果がどの程度できているかを確認しやすくなります。

状態完了として扱うか
プログラムを書いている途中完了ではない
実装は終わったがテスト前完了ではない
テストで不具合が見つかった完了ではない
完成の定義をすべて満たした完了

作業した量ではなく、完成した成果を見るんだね。

そう。スクラムでは、利用可能なインクリメントが重要だからね。

バーンダウンチャートの見方

バーンダウンチャートは、実績線の形によって、さまざまな状況を確認できます。

ただし、グラフだけで原因を断定することはできません。

実際の作業内容やチームの状況を確認する必要があります。

実績線が理想線より上にある場合

実績線が理想線より上にある場合、理想線と比べて残作業が多い状態です。

考えられる原因には、次のようなものがあります。

  • 作業が予定より遅れている
  • 作業を多く選びすぎた
  • 見積りより難しかった
  • 問題や待ち時間が発生している
  • 完成間近の大きな項目が複数ある
  • 理想線の減り方が現実に合っていない

理想線より上なら、必ず遅れているの?

そうとは限らないよ。完成直前の大きな項目があれば、翌日に一気に減ることもあるからね。

理想線はあくまで目安です。

上にあることを責めるのではなく、スプリントゴールの達成に問題がないかを確認します。

実績線が理想線より下にある場合

実績線が理想線より下にある場合、理想線より早く作業が減っているように見えます。

考えられる理由には、次のようなものがあります。

  • 作業が順調に進んでいる
  • 見積りが大きすぎた
  • 小さな項目を先に多く完了した
  • 当初予定していた作業を削除した
  • 完成の基準が緩くなっている

理想線より下にあるからといって、必ずよい状態とは限りません。

品質を下げたり、必要な作業を外したりしていないかも確認します。

実績線が横ばいの場合

数日間、実績線が横ばいになっている場合、残作業量が減っていません。

考えられる原因には、次のようなものがあります。

  • 大きな作業へ取り組んでいる
  • 作業が途中まで進んでいるが、完成していない
  • 問題が発生している
  • 外部の回答や承認を待っている
  • 複数の作業を同時に始めすぎている
  • チャートが更新されていない

横ばいなら、誰も仕事をしていないということ?

違うよ。作業中でも、完成した項目がなければ残作業は減らないからね。

横ばいが長く続く場合は、作業を小さく分けられないか、チームで一つの項目を完成させられないかを考えます。

実績線が急に大きく下がる場合

実績線が終盤などに急激に下がる場合、複数の作業が同じ日に完成した可能性があります。

考えられる状況は次のとおりです。

  • 大きな項目が完成した
  • テストやレビューを最後にまとめて行った
  • 完了状態の更新が遅れていた
  • 小さく分割できていない作業が多い
  • スプリント終了直前に完成が集中した

一度だけであれば問題とは限りません。

しかし、毎回終盤に急減する場合は、作業の分割方法やテストの進め方を見直す必要があります。

実績線が途中で上がる場合

実績線が上がることもあります。

これは、残作業量が増えたことを意味します。

考えられる原因は次のとおりです。

  • 新しい作業が追加された
  • 必要な作業が後から判明した
  • 見積りを増やした
  • 完了とした項目を未完了へ戻した
  • 不具合修正が追加された

バーンダウンなのに、上がることもあるんだね。

そう。現実の作業では、新しいことが分かるからね。上がったことを隠すのではなく、理由を確認することが大切だよ。

最終日に0にならない場合

スプリント終了時に残作業が0にならない場合、未完成の作業が残っています。

ただし、これだけでスプリント全体の失敗とは判断できません。

次の点を確認します。

  • スプリントゴールは達成できたか
  • 価値のあるインクリメントは完成したか
  • なぜ作業が残ったのか
  • 最初に選んだ作業量は適切だったか
  • 作業項目が大きすぎなかったか
  • 割り込みや待ち時間が多くなかったか

未完成のバックログ項目はプロダクトバックログへ戻し、優先順位を改めて判断します。

グラフの形から考えられる状況

実績線の形考えられる状況
理想線に近い右下がり比較的安定して作業が完成している
理想線より上残作業が多い、完成前の項目がある
理想線より下早く進んでいる、見積りが大きかった可能性
長期間横ばい作業が大きい、問題や待ち時間がある
終盤に急減完成やテストが最後に集中している
途中で上昇作業追加、再見積り、未完了への差戻し
最後まで0にならない未完成作業が残っている
早い段階で0になる作業量が少なかった、見積りが大きかった可能性

バーンダウンチャートで分かること

バーンダウンチャートを使うと、次のようなことを確認できます。

残作業量の推移

現在、どの程度の作業が残っているかを確認できます。

作業の停滞

実績線が長期間横ばいになっていれば、作業が完成していないことに気づけます。

作業追加の影響

実績線が上昇すれば、スプリント中に作業量が増えたことを確認できます。

完了時期の予測

現在の減り方を参考に、期間内に残作業を0にできそうか考えられます。

ただし、単純な直線予測だけで正確な未来を保証するものではありません。

改善が必要なパターン

毎回終盤に作業が集中するなど、チームの進め方に共通する傾向を発見できます。

バーンダウンチャートだけでは分からないこと

バーンダウンチャートは便利ですが、グラフだけですべてを判断することはできません。

次のような内容は、バーンダウンチャートだけでは十分に分かりません。

  • 成果物の品質
  • スプリントゴールの達成状況
  • 利用者へ提供した価値
  • メンバーの作業負荷
  • 作業が停滞している具体的な理由
  • プロダクト全体の将来性
  • チーム内のコミュニケーション状況

例えば、残作業が0になっていても、テストを省略していれば品質に問題があります。

反対に、残作業が少し残っていても、スプリントゴールを達成し、重要な価値を提供できている場合があります。

バーンダウンチャートは、チームの状態を全部表す健康診断ではないんだね。

そう。状況を確認する一つの材料として使うんだ。

スプリントバーンダウンチャートとは?

スプリントバーンダウンチャートは、1回のスプリント内に残っている作業量を表します。

一般的には、次のように設定します。

項目内容
横軸スプリントの日数
縦軸スプリント内の残作業量
開始地点スプリント開始時の作業量
終了地点スプリント終了時の0
主な目的スプリントゴールへ向けた状況確認

デイリースクラムなどで確認し、スプリントゴールを達成するために計画を調整する材料として使えます。

リリースバーンダウンチャートとは?

リリースバーンダウンチャートは、複数のスプリントにまたがる残作業量を表します。

横軸にはスプリント番号や期間、縦軸にはリリースまでに残っている作業量を置きます。

項目スプリントバーンダウンリリースバーンダウン
対象期間1回のスプリント複数スプリント
横軸日数スプリント番号や期間
縦軸スプリント内の残作業リリースまでの残作業
主な目的日々の進捗確認リリース時期の見通し確認

ただし、リリースまでの作業範囲が頻繁に変化する場合、残作業量だけでは変更内容が分かりにくくなることがあります。

その場合は、バーンアップチャートが適することもあります。

様々な比較

ここでは下記のものと比較を紹介します。

・バーンアップチャート
ベロシティ
・ガントチャート
・カンバンボード
・進捗率

バーンアップチャートとの違い

バーンアップチャートは、完成した作業量がどのように増えているかを表すグラフです。

また、プロジェクトやリリース全体の作業量を別の線で表示することがあります。

項目バーンダウンチャートバーンアップチャート
主に表すもの残っている作業量完成した作業量
線の方向基本的に右下がり基本的に右上がり
完了時の状態残作業が0になる完了量が全体量へ到達する
作業追加の見え方残作業が増える全体量の線が上がる
得意なこと残りがどれだけあるか確認完了量と範囲変更を分けて確認

どちらが優れているの?

目的によって使い分けるよ。残りを直感的に見たいならバーンダウン、作業範囲の変更も見たいならバーンアップが分かりやすい場合があるんだ。

作業追加が多い場合の違い

最初に100ポイントの作業があり、途中で20ポイント追加されたとします。

バーンダウンチャートでは、残作業量が途中で上昇します。

しかし、その上昇が、

  • 新しい要望の追加
  • 見積りの修正
  • 作業の差戻し

のどれによるものかは、グラフだけでは分かりにくいことがあります。

バーンアップチャートでは、

  • 完成した量
  • 全体の作業量

を別々の線で表せるため、作業範囲の増減を確認しやすくなります。

ベロシティとの違い

ベロシティは、1回のスプリントで完成した作業量を表す指標です。

例えば、完成したバックログ項目のストーリーポイント合計をベロシティとして扱います。

項目バーンダウンチャートベロシティ
表すもの期間中の残作業量の変化スプリントで完成した作業量
表現グラフ数値
主な対象1回のスプリント内など複数スプリントの実績
主な用途日々の状態を確認する今後の作業量を予測する
更新頻度毎日などスプリント終了時

バーンダウンは途中経過、ベロシティはスプリント終了後の実績なんだね。

大まかにはその理解でいいよ。

ガントチャートとの違い

ガントチャートは、作業の開始日・終了日・期間・依存関係などを横棒で表す工程管理表です。

項目バーンダウンチャートガントチャート
主な目的残作業量の変化を確認する作業予定や期間を管理する
表現右下がりの線グラフ横棒
表す情報残作業量各作業の開始・終了予定
個別タスク詳細は分かりにくいタスクごとに確認しやすい
変更への対応残作業の変化を反映しやすい全体計画の修正が必要になる場合がある
よく使われる場面スクラム、アジャイルプロジェクト管理全般

バーンダウンチャートでは、どの作業を誰が行っているかまでは分かりません。

一方、ガントチャートではタスクごとの予定を確認できますが、残作業量の全体的な変化は分かりにくい場合があります。

カンバンボードとの違い

カンバンボードは、作業項目を状態別に並べ、作業の流れを見えるようにする道具です。

例えば、次の列を用意します。

  • 未着手
  • 作業中
  • レビュー中
  • 完了
項目バーンダウンチャートカンバンボード
主に表すもの残作業量の変化各作業の現在の状態
時間の変化グラフで分かる履歴を見ないと分かりにくい
個別作業分かりにくい確認しやすい
停滞の場所原因までは分かりにくいどの工程で詰まっているか確認しやすい
併用可能可能

バーンダウンチャートとカンバンボードを併用すれば、残作業の変化と、具体的にどの作業が停滞しているかを確認できます。

バーンダウンチャートと進捗率の違い

進捗率は、作業全体のうち何%が進んだかを表す数値です。

例えば、100時間のうち60時間分が完了したとして、進捗率60%と表します。

しかし、進捗率には次のような難しさがあります。

  • 「80%完了」のまま長期間止まる
  • 担当者によって判断基準が異なる
  • 完成して利用できる状態か分からない
  • 残作業が増えたことを表しにくい

バーンダウンチャートでは、毎日の残作業量を記録するため、時間による変化を確認できます。

項目バーンダウンチャート進捗率
表現時系列のグラフ割合
分かること残作業の変化現時点の進み具合
停滞横ばいとして見える数値の変化を並べる必要がある
作業追加残作業増加として表せる分母の変更が分かりにくい

バーンダウンチャートのメリット

残作業量を視覚的に確認できる

数字の一覧だけでなくグラフで確認できるため、作業が減っているかを直感的に把握できます。

問題を早く発見しやすい

実績線が長期間横ばいになっている場合など、作業が完成していない状況に気づきやすくなります。

チームで状況を共有しやすい

チーム全員が同じグラフを見ることで、現在の状況について共通認識を持ちやすくなります。

計画を調整する材料になる

期間内に作業が終わりそうかを考え、チームで協力する、作業を分割する、範囲を調整するといった判断に利用できます。

進め方の傾向を振り返れる

毎回終盤に作業が集中するなど、チーム特有の傾向を見つけ、レトロスペクティブの材料にできます。

バーンダウンチャートのデメリット・注意点

作業の品質は分からない

残作業が0でも、品質が低ければよい成果とはいえません。

完成の定義を守っているか、別途確認する必要があります。

個別作業の内容は分からない

グラフから、どのタスクが止まっているのか、誰が何をしているのかは分かりません。

カンバンボードやバックログと合わせて確認します。

作業追加の内容が分かりにくい

残作業が増えたことは分かりますが、なぜ増えたのかはグラフだけでは判断できません。

大きな項目があると横ばいになりやすい

完成した項目だけを減らす場合、大きな作業を数日間続けると実績線が横ばいになります。

作業を小さく分割する必要があります。

数値が目的になりやすい

理想線へ近づけることだけを目標にすると、必要な作業を削ったり、未完成の作業を完了扱いにしたりする危険があります。

チームや個人の評価に悪用される可能性がある

「線が下がっていないから働いていない」と判断するのは適切ではありません。

調査、設計、レビュー、問題解決などを進めていても、成果が完成するまで線が下がらないことがあります。

バーンダウンチャートをうまく使うポイント

作業量の単位を統一する

ストーリーポイント、残時間、タスク数など、同じチャート内では同じ単位を使います。

毎日同じタイミングで更新する

更新時刻が日によって異なると、正しく比較しにくくなります。

ツールで自動更新できる場合は、更新漏れを減らせます。

完了条件を明確にする

何をもって作業完了とするかを、チーム内で統一します。

完成の定義を満たした項目だけを完了として扱うと、品質を保ちやすくなります。

バックログ項目を小さく分ける

大きな作業ばかりでは、何日も実績線が動きません。

利用者へ価値を提供できる小さな単位へ分割します。

グラフを責任追及に使わない

チャートの目的は、問題を早く見つけて改善することです。

誰かを責めるために使うと、正しい情報が共有されなくなります。

グラフ以外の情報も確認する

次の情報も合わせて確認します。

  • スプリントゴール
  • スプリントバックログ
  • カンバンボード
  • 完成の定義
  • 発生している問題
  • インクリメントの品質
  • チームの会話

バーンダウンチャートはスクラムで必須?

スクラムを行うなら、バーンダウンチャートを必ず作るの?

必須ではないよ。

スクラムで定められている作成物は、次の三つです。

  • プロダクトバックログ
  • スプリントバックログ
  • インクリメント

バーンダウンチャートは、この三つには含まれていません。

バーンダウンチャートは、進捗状況を予測したり、残作業を見えるようにしたりする方法の一つです。

チームによっては、次のような方法を使います。

  • バーンアップチャート
  • 累積フロー図
  • カンバンボード
  • バックログの完了状況
  • リリース予測

大切なのは、バーンダウンチャートを作ること自体ではなく、状況を透明にし、検査と適応を行えることです。

バーンダウンチャートが向いている場面

バーンダウンチャートは、次のような場面で利用しやすい道具です。

  • 期間が決まっている
  • 開始時点で作業量をある程度整理できる
  • 残作業量を同じ単位で表せる
  • 短い周期で進捗を確認したい
  • チームで状況を共有したい
  • 作業が完成したかを明確に判断できる

スプリントのように、期間と作業の範囲がある程度決まっている場面と相性があります。

バーンダウンチャートが向いていない可能性がある場面

次のような場合は、バーンダウンチャートだけでは状況を把握しにくいことがあります。

  • 毎日大量の作業が追加される
  • 作業範囲が頻繁に変化する
  • 作業の大きさを見積もれない
  • 期間が決まっていない
  • 継続的に仕事が流れてくる
  • 作業の工程ごとの滞留を確認したい

このような場合は、バーンアップチャートや累積フロー図、カンバンボードなどが適することがあります。

よくある失敗例

理想線に合わせることが目的になる

理想線は目安です。

実績線を理想線へ無理に合わせるために、必要なテストを省略したり、未完成の作業を完了扱いにしたりしてはいけません。

作業を細かく分けすぎる

作業を細かく分ければ線は頻繁に下がります。

しかし、意味のない小さなタスクを大量に作ると、管理の負担が増えます。

利用者へ提供する価値や、確認可能な成果を意識した分割が必要です。

作業を大きいまま登録する

一つの項目がスプリント全体を使うほど大きいと、スプリント終了直前まで線が下がらない可能性があります。

チャートを更新しない

情報が古いバーンダウンチャートでは、現在の状況を正しく判断できません。

チーム同士を比較する

チームによって、作業量の単位、見積方法、完成の定義、スプリント期間が異なります。

グラフの傾きだけで別のチームと比較するのは適切ではありません。

個人の作業量を評価する

バーンダウンチャートはチーム全体の残作業量を表すものであり、個人の働き方を評価する道具ではありません。

ITパスポート・基本情報・応用情報の試験対策

バーンダウンチャートは、アジャイル開発やスクラムに関連する進捗管理の用語として、情報処理技術者試験で押さえておきたい内容です。

試験別に押さえたい内容

試験主な対策ポイント
ITパスポート残作業量の推移を表すグラフ
基本情報技術者横軸が時間、縦軸が残作業量であること
応用情報技術者グラフの形の読み方、ベロシティなどとの違い

試験で覚えたい基本

項目内容
横軸時間、日数、スプリント
縦軸残作業量
基本的な形右下がり
完了時残作業量が0になる
主な用途進捗状況の可視化
関連用語スプリント、バックログ、ストーリーポイント
必須かスクラムでは必須ではない

試験問題で注目する表現

問題文の表現考えられる答え
残作業量の時間的な推移バーンダウンチャート
完了した作業量が増える様子バーンアップチャート
スプリントで完成した作業量ベロシティ
作業の開始日・終了日を横棒で表示ガントチャート
作業を未着手・作業中・完了で管理カンバンボード
残作業量が途中で増加作業追加や見積り変更の可能性
実績線が長期間横ばい完成した作業がない、停滞の可能性

類似用語の試験対策比較

用語主に表すもの覚え方
バーンダウンチャート残作業量残りが下がる
バーンアップチャート完了作業量完了が上がる
ベロシティ1スプリントの完成量チームの過去実績
ガントチャート作業予定と期間横棒で日程管理
カンバンボード作業の現在状態カードを列で管理
累積フロー図工程ごとの作業量滞留や流れを確認

よくある誤解

バーンダウンチャートは作業した時間を表す

長時間働けば、実績線が大きく下がるんだよね?

必ずしもそうではないよ。バーンダウンチャートは基本的に、残っている作業量を表すんだ。

長時間作業しても、成果が完成していなければ残作業量が変化しない場合があります。

実績線は毎日必ず下がる

実際の開発では、数日間横ばいになることがあります。

大きな項目へ取り組んでいたり、レビューやテストを行っていたりする場合、完成するまで残作業が減らないことがあります。

理想線より上ならスプリントは失敗

理想線は目安です。

一時的に上にあっても、その後に大きな項目が完成し、スプリントゴールを達成する場合があります。

グラフだけで成功・失敗を判断してはいけません。

理想線より下なら必ず順調

品質を下げたり、必要な作業を削除したりしたために、残作業が減っている可能性もあります。

完成の定義やスプリントゴールも確認する必要があります。

バーンダウンチャートが0なら高品質である

残作業が0であることと、成果の品質は別です。

テスト、レビュー、セキュリティ確認などを含む完成の定義を満たす必要があります。

実績線が上がるのは間違いである

スプリント中に新しい作業が判明したり、見積りを変更したりすると、実績線が上がることがあります。

大切なのは、上昇を隠すことではなく、理由とスプリントゴールへの影響を確認することです。

バーンダウンチャートは個人の評価表である

バーンダウンチャートは、チーム全体の残作業を可視化するための道具です。

線が下がらないことを理由に個人を責めると、問題や正しい情報が共有されなくなる可能性があります。

スクラムでは必ず作成する

バーンダウンチャートは便利な道具ですが、スクラムで必須ではありません。

チームに合った方法で、進捗や残作業を透明にすることが重要です。

タスクを追加してはいけない

新しい情報が分かり、必要な作業を追加することはあります。

ただし、無制限に追加するのではなく、スプリントゴールへの影響を確認し、必要に応じて作業範囲を調整します。

線をきれいにすることが目的である

バーンダウンチャートは、現実の状況を正しく見えるようにするためのものです。

理想的な形へ見せるために情報を操作してしまうと、問題を発見できなくなります。

きれいな線よりも、正しい情報の方が重要です。

まとめ

バーンダウンチャートとは、期間内に残っている作業量が、時間の経過とともにどう減っているかを表すグラフです。

一般的には、横軸に日数などの時間、縦軸に残作業量を置きます。

作業が完成するにつれて残作業量が減るため、基本的には右下がりのグラフになります。

バーンダウンチャートには、理想的な減り方を示す理想線と、実際の残作業量を示す実績線を描くことがあります。

ただし、実績線を理想線へ一致させることが目的ではありません。

実績線が横ばい、急減、上昇している理由を確認し、スプリントゴールを達成するために作業計画を調整することが重要です。

また、バーンダウンチャートだけでは、成果物の品質や利用者へ提供した価値までは分かりません。

スプリントゴール、完成の定義、バックログ、カンバンボードなどと合わせて確認する必要があります。

最後に要点を整理します。

項目内容
用語バーンダウンチャート
英語Burndown Chart
一言でいうと残作業量の推移を表すグラフ
横軸時間、日数、スプリント
縦軸残作業量
基本的な形右下がり
理想線一定の割合で作業が減った場合の目安
実績線実際に残っている作業量
横ばい完成した作業がない、停滞している可能性
急な低下大きな作業や複数作業が完成した可能性
線の上昇作業追加、再見積り、差戻しの可能性
主な目的状況の可視化と計画調整
バーンアップとの違いバーンアップは完成量の増加を表す
ベロシティとの違いベロシティはスプリントで完成した作業量
ガントチャートとの違いガントチャートは作業予定や期間を横棒で表す
スクラムで必須か必須ではない
注意点品質や価値はグラフだけでは分からない
覚え方「横軸は時間、縦軸は残り、線は右下がり」

バーンダウンチャートは、スプリントで残っている作業量を確認するグラフなんだね。

そう。横軸が時間、縦軸が残作業量で、作業が完成するほど線が下がっていくよ。

理想線より上にあっても、それだけで失敗とは決められないんだね。

大きな作業が完成直前かもしれないし、新しい作業が判明した可能性もあるからね。

グラフの形を見て誰かを責めるのではなく、なぜその形になったのかを確認するんだね。

そう。そして、スプリントゴールを達成するために、チームで計画を調整するんだ。

横軸は時間、縦軸は残り、線は右下がり。これなら覚えやすそう!

バッチリ。バーンダウンチャートは、作業を減らす競争ではなく、現在地を正しく知るための道具だよ。

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クマノくらげ
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難しいIT用語やビジネス用語を、できるだけ身近な例えで解説するブログです。 「専門用語を見ると眠くなる人」でも読めるように、画像や会話形式を多めにしています。 AWS12冠達成済み。
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