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RoHS指令とは?対象10物質や基準値、REACH・WEEEとの違いを初心者向けにわかりやすく解説

クマノくらげ

はじめに

パソコン、スマートフォン、家電製品などの電気・電子機器には、さまざまな金属、樹脂、電子部品が使われています。

その中には、鉛、水銀、カドミウムなど、人の健康や環境へ悪影響を与える可能性がある物質も含まれます。

こうした特定有害物質の使用を、EU域内で販売される電気・電子機器について制限するルールがRoHS指令です。

しかし、初めてRoHS指令について学ぶ方にとっては、

  • RoHSは何の略なのか
  • どのような製品が対象になるのか
  • 規制対象となる10物質は何か
  • 有害物質をまったく含んではいけないのか
  • 基準値は製品全体の重量で計算するのか
  • 均質材料とは何か
  • RoHS1とRoHS2は何が違うのか
  • CEマークとの関係は何か
  • REACH規則やWEEE指令とは何が違うのか
  • 日本企業にも対応が必要なのか

といった点が分かりにくいのではないでしょうか。

RoHS指令を一言で表すと、

「EU市場へ出す電気・電子機器について、特定有害物質の含有量を均質材料ごとに制限するルール」

です。

現在の中心となる法令は、2011年に制定されたDirective 2011/65/EUです。2026年7月1日時点の統合版でも、電気・電子機器における10種類の物質・物質群と、その最大許容濃度が定められています。

この記事では、RoHS指令の意味、目的、対象製品、規制対象10物質、最大許容濃度、均質材料の考え方、適用除外、CEマーキング、REACH規則・WEEE指令との違いについて、会話を中心に初心者向けにわかりやすく解説します。

RoHS指令とは?

RoHS指令とは、EUで販売する電気・電子機器について、鉛や水銀などの特定有害物質の使用を制限するルールだよ。

有害物質が入っていたらダメなんだね。
少しでも入っていたら販売できなくなっちゃうの?

原則として最大許容濃度を超えないことが求められるよ。ただし、製品全体ではなく、均質材料ごとに判定する点が重要なんだ。

RoHSは一般的に、

Restriction of Hazardous Substances

の略として説明されます。

日本語では、次のように呼ばれます。

  • 有害物質使用制限指令
  • 特定有害物質使用制限指令
  • 電気・電子機器における有害物質使用制限指令

現在のRoHS指令は、正式には、

電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関する欧州議会・理事会指令2011/65/EU

です。

この指令は、電気・電子機器における有害物質の使用を制限し、人の健康や環境を保護するとともに、廃電気・電子機器を適切に回収・処理しやすくすることを目的としています。

RoHS指令をお弁当箱で例えてみよう

規制の仕組みを、もう少し身近な例で説明できる?

複数のおかずが入ったお弁当で考えてみよう。

一つのお弁当箱に、次のおかずが入っているとします。

  • ご飯
  • 卵焼き
  • から揚げ
  • 漬物

お弁当全体の重量は500グラムです。

そのうち漬物だけに、使用量が制限されている添加物が多く含まれていたとします。

お弁当全体の500グラムを基準にすると、添加物の割合は小さく見えるかもしれません。

しかし、漬物だけを取り出して調べると、基準を超えている可能性があります。

RoHS指令でも、製品全体の重量で有害物質の割合を薄めて判断するのではありません。

基本的には、機械的な方法でそれ以上異なる材料へ分けられない均質材料ごとに濃度を確認します。

お弁当の例RoHS指令
お弁当全体電気・電子機器全体
ご飯や卵焼きなど部品・材料
漬物だけを調べる均質材料ごとに調べる
添加物の基準値有害物質の最大許容濃度
基準を超えた漬物RoHS不適合となる材料

製品全体で平均するのではなく、はんだや樹脂などを個別に見るんだね。

そう。RoHS指令を理解するうえで、均質材料は特に重要な言葉だよ。

RoHS指令の目的

RoHS指令の主な目的は、電気・電子機器に含まれる有害物質を減らし、人の健康と環境を保護することです。

具体的には、次のような目的があります。

  • 製品の製造・使用・廃棄時における有害物質の影響を減らす
  • 廃電気・電子機器を安全に処理しやすくする
  • リサイクル作業者などの健康リスクを軽減する
  • 有害物質を含まない代替材料への切替えを促す
  • EU加盟国間で規制内容を統一し、市場の混乱を防ぐ
  • 電気・電子機器の再使用や資源循環を進める

電気・電子機器が廃棄されると、分解、破砕、焼却、埋立てなどが行われる場合があります。

有害物質が多く含まれていると、その処理過程で人や環境へ影響する可能性があります。

RoHS指令は、廃棄された後に処理するだけでなく、製品を作る段階から有害物質を減らすという考え方に基づいています。

RoHS指令の対象となる製品

RoHS指令では、対象となる電気・電子機器を11のカテゴリーに分類しています。

カテゴリー主な内容
1大型家庭用電気製品
2小型家庭用電気製品
3IT・通信機器
4民生用機器
5照明機器
6電気・電子工具
7玩具、レジャー・スポーツ機器
8医療用機器
9監視・制御機器
10自動販売機などの自動供給装置
11上記カテゴリーに含まれないその他の電気・電子機器

現行指令の附属書Ⅰには、この11カテゴリーが示されています。

対象製品の具体例

対象となり得る製品には、次のようなものがあります。

  • 冷蔵庫
  • 洗濯機
  • 電子レンジ
  • 掃除機
  • 電気アイロン
  • パソコン
  • ディスプレイ
  • プリンター
  • スマートフォン
  • ルーター
  • テレビ
  • オーディオ機器
  • LED照明
  • 電動工具
  • ゲーム機
  • 電子玩具
  • 医療機器
  • 測定器
  • 監視装置
  • 自動販売機
  • 電気ケーブル
  • 電子部品を組み込んだ製品

ただし、電気を使用する製品なら、すべて無条件で対象になるわけではありません。

用途、構造、設置方法、ほかの機器への組込み方などによって、指令上の扱いが変わる場合があります。

電気・電子機器とは?

RoHS指令における電気・電子機器は、正常に動作するために電流または電磁界を必要とする機器などを指します。

例えば、次の製品は電気がなければ本来の機能を果たせません。

  • パソコン
  • 電子時計
  • 電気ドリル
  • LED照明
  • 電子体温計

一方、電気部品が付いていても、製品の主な機能に電気が必要なのか、別の大型設備へ固定して使用するものなのかなどによって判断が難しい場合があります。

実務では、製品の仕様とRoHS指令の対象範囲・除外規定を確認する必要があります。

RoHS指令で規制される10物質

RoHS指令では、現在10種類の物質・物質群が規制対象となっています。

規制物質英語・略称最大許容濃度
Lead/Pb0.1%
水銀Mercury/Hg0.1%
カドミウムCadmium/Cd0.01%
六価クロムHexavalent chromium/Cr6+0.1%
ポリ臭化ビフェニルPBB0.1%
ポリ臭化ジフェニルエーテルPBDE0.1%
フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)DEHP0.1%
フタル酸ブチルベンジルBBP0.1%
フタル酸ジブチルDBP0.1%
フタル酸ジイソブチルDIBP0.1%

カドミウムだけは最大許容濃度が**0.01%で、ほかの9物質・物質群は原則として0.1%**です。これらは均質材料の重量を基準として判定されます。

鉛は、従来のはんだ、合金、ガラス、電子部品などに使用されてきました。

RoHS対応では、鉛を含むはんだから、鉛を原則として使用しない鉛フリーはんだへの切替えが代表的です。

ただし、鉛が少しでも含まれていれば直ちに違反になるわけではありません。

均質材料中の濃度が基準値以下であるか、適用可能な除外用途に該当するかを確認します。

水銀

水銀は、一部のランプ、スイッチ、計測機器などで使われてきました。

環境中へ放出されると、生物の体内に蓄積し、人の健康へ影響する可能性があります。

照明機器などでは、用途ごとに適用除外や許容条件が設けられている場合があるため、附属書の確認が必要です。

カドミウム

カドミウムは、一部の電池、顔料、接点、めっきなどに使用されてきました。

RoHS指令では、カドミウムの最大許容濃度は0.01%であり、ほかの規制物質より厳しい値です。

0.01% = 100ppm
0.1%  = 1,000ppm

カドミウムだけ基準が10分の1なんだね。

そう。試験や実務では、カドミウムだけ0.01%と覚えておこう。

六価クロム

六価クロムは、金属表面の防錆処理やめっき処理などに使われてきました。

クロムという元素すべてが一律に禁止されているわけではありません。

RoHS指令で規制されるのは、主に酸化数が+6の状態である六価クロムです。

三価クロムなどを利用した代替処理が行われることがあります。

PBB・PBDE

PBBとPBDEは、プラスチックなどを燃えにくくする臭素系難燃剤として使われてきた物質群です。

物質日本語
PBBポリ臭化ビフェニル
PBDEポリ臭化ジフェニルエーテル

火災防止のために難燃性は重要ですが、環境や健康への影響を考慮し、対象物質の使用が制限されています。

すべての難燃剤がRoHS指令で禁止されるわけではなく、規制対象となる物質を区別する必要があります。

DEHP・BBP・DBP・DIBP

DEHP、BBP、DBP、DIBPは、主に樹脂を柔らかくするために使われるフタル酸エステル系可塑剤です。

例えば、次のような材料に含まれる可能性があります。

  • 電線の被覆
  • ケーブル
  • 柔らかい樹脂部品
  • ゴム状の部品
  • 接着剤
  • 塗料

この4物質は、2015年の委任指令によってRoHS指令の規制物質へ追加されました。

RoHS1とRoHS2の違い

RoHS指令は、一度制定されて終わったルールではありません。

大きく分けると、初代のRoHS指令と、現在の基礎となる改正RoHS指令があります。

項目RoHS1RoHS2
指令番号2002/95/EC2011/65/EU
主な規制物質当初6物質現在10物質
対象製品対象カテゴリーを限定対象範囲を拡大
CEマーキングRoHS単独では要求なし適合宣言・CE表示が必要
技術文書制度が比較的限定的適合評価・文書管理を明確化
現在の位置付け廃止済み現行制度の中心

RoHS2では、医療機器や監視・制御機器などへ対象範囲が拡大されました。

また、製造者による適合評価、EU適合宣言、技術文書、CEマーキングなどの仕組みが明確にされています。

RoHS3という指令があるの?

RoHS3っていうのも聞いたことあるんだけど?

民間ではRoHS3と呼ばれることがあるけれど、正式な新しい基本指令の名称ではないよ。

2015年に追加された4種類のフタル酸エステルを含む10物質規制を、説明上「RoHS3」と呼ぶ資料があります。

しかし、法令上の基礎は引き続きDirective 2011/65/EUであり、4物質は附属書Ⅱを改正する委任指令2015/863によって追加されました。

したがって、正式な文書では次のような表現が安全です。

  • 改正RoHS指令
  • RoHS2
  • Directive 2011/65/EU
  • 10物質対応RoHS

最大許容濃度とは?

最大許容濃度とは、均質材料中に含むことが許される規制物質の上限です。

例えば、ある樹脂材料が100グラムあり、その中に鉛が0.05グラム含まれていたとします。

0.05g ÷ 100g × 100 = 0.05%

鉛の最大許容濃度は0.1%なので、濃度だけを見れば基準以下です。

一方、鉛が0.2グラム含まれていれば、0.2%となり、原則として基準を超えます。

ただし、実際の適合判断では次の点も確認する必要があります。

  • 測定対象が本当に均質材料か
  • 測定値や分析方法は適切か
  • 適用除外が利用できるか
  • 製品カテゴリーや上市時期は何か
  • 部品や材料の証明書が有効か

均質材料とは?

均質材料とは、全体が均一な組成であり、機械的な方法では異なる材料へ分離できない材料を指します。

代表例は次のとおりです。

  • 一種類の金属
  • 一種類の樹脂
  • ガラス
  • セラミック
  • はんだ
  • めっき層
  • 電線の導体
  • 電線の被覆材

電線は一つの均質材料ではない

一本の電線を考えてみましょう。

電線は、主に次の部分から構成されます。

  • 内部の銅線
  • 銅線表面のめっき
  • 外側の樹脂被覆
  • 印刷インク

これらは機械的に分けることができ、材質も異なります。

そのため、電線全体を一つとして平均するのではなく、原則としてそれぞれを別の均質材料として評価します。

電線
├─ 銅導体
├─ めっき層
├─ 樹脂被覆
└─ 印刷インク

銅線部分に有害物質が少ないからといって、被覆材の濃度超過を薄められないんだね。

そう。製品全体の平均値ではなく、分離できる材料ごとに見るのが基本だよ。

現行指令の附属書Ⅱでも、最大許容濃度は均質材料の重量を基準として定められています。

RoHS指令では有害物質を一切使えない?

RoHS指令は、対象物質を完全にゼロにする規制ではありません。

原則として、均質材料中の濃度を最大許容濃度以下にすることが求められます。

また、技術的に代替が困難であるなどの理由から、特定の用途について適用除外が認められる場合があります。

したがって、次の二つは意味が異なります。

表現意味
RoHS対象物質を含まない対象物質が検出されない、または使用していない
RoHS適合基準値以下、または有効な適用除外を利用している

RoHS適合製品でも、鉛などが完全にゼロとは限らないんだね。

そう。RoHS適合と有害物質ゼロは同じ意味ではないよ。

RoHS指令の適用除外とは?

一部の用途では、対象物質を使わなければ製品の安全性や性能を保てない場合があります。

そのような用途については、附属書Ⅲや附属書Ⅳなどに適用除外が定められています。

例としては、次のような用途があります。

  • 特定の高融点はんだに含まれる鉛
  • 特定のガラスやセラミックに含まれる鉛
  • 特殊な照明に使用される水銀
  • 特定の医療・計測用途
  • 高い信頼性が必要な電子部品

ただし、適用除外は「鉛を自由に使用してよい」という包括的な許可ではありません。

次の条件を確認する必要があります。

  • 対象となる物質
  • 使用目的
  • 製品カテゴリー
  • 濃度や使用量
  • 有効期限
  • 更新・延長の状況
  • 代替技術の有無

現行の統合版でも、多数の適用除外について用途や有効期限が個別に設定されています。

適用除外には期限がある

一度適用除外になれば、ずっと使えるの?

適用除外には期限が設定され、内容が更新・終了されることがあるよ。

適用除外は、代替材料や代替技術が利用可能になれば、終了または縮小される可能性があります。

そのため、過去の設計で適用除外を使っていた製品でも、新製品や継続販売製品について最新の有効期限を確認する必要があります。

RoHS指令への適合を確認する方法

RoHS指令への対応では、完成品を一度だけ分析すれば終わりとは限りません。

製品を構成する部品・材料について、サプライチェーン全体で情報を集める必要があります。

主な確認方法は次のとおりです。

  • 部品・材料メーカーの含有化学物質調査
  • RoHS適合証明書の取得
  • 成分表や材料宣言の確認
  • 製造工程の確認
  • 蛍光X線分析によるスクリーニング
  • 精密な化学分析
  • 適用除外の確認
  • 変更管理
  • 技術文書の作成・保存

蛍光X線分析とは?

蛍光X線分析は、製品や材料にX線を当て、含まれる元素を調べる方法です。

比較的短時間で測定できるため、スクリーニング検査に利用されます。

ただし、次のような限界があります。

  • 六価クロムと三価クロムを単純には区別できない
  • PBBとPBDEを元素分析だけで確定できない
  • フタル酸エステルを通常の元素分析では特定できない
  • 表面形状や材質により測定精度が変わる
  • 均質材料へ分解して測定する必要がある

そのため、スクリーニングで疑わしい結果が出た場合は、精密分析が必要になることがあります。

サプライヤーの証明書があれば十分?

部品メーカーからRoHS適合証明書をもらえば、完成品メーカーは何もしなくていいの?

証明書は重要だけれど、完成品メーカーにも適合を確認し、説明できる責任があるよ。

サプライヤーの証明書を利用する場合は、次の点を確認します。

  • 対象となる部品番号
  • 対象となる製造拠点
  • 適用しているRoHS指令の版
  • 10物質へ対応しているか
  • 適用除外の有無
  • 証明書の発行日
  • 材料や工程の変更履歴
  • 分析データの有無
  • 回答者や企業の信頼性

「RoHS対応」とだけ書かれていても、6物質対応なのか10物質対応なのか分からない場合があります。

RoHS指令とCEマーキングの関係

RoHS2では、製造者が製品の適合性を評価し、EU適合宣言を作成したうえで、完成した製品へCEマーキングを表示することが求められます。

製造者は技術文書とEU適合宣言を、製品を市場へ出した後10年間保存する義務があります。

CEマークはRoHS専用マークではない

CEマークが付いていれば、RoHS適合だけを表しているの?

CEマークはRoHS専用ではないよ。製品に適用されるEUの複数の法令へ適合していることを製造者が示すものなんだ。

製品によっては、RoHS指令以外にも次の法令が適用される可能性があります。

  • 低電圧指令
  • EMC指令
  • 無線機器指令
  • 機械関連法令
  • エコデザイン関連法令

CEマークは、適用されるすべてのCEマーキング対象法令への適合を確認したうえで表示します。

現行RoHS指令では、CEマークを製品または銘板へ見やすく、読みやすく、消えにくい形で表示し、難しい場合は包装や添付文書へ表示することが定められています。

EU適合宣言とは?

EU適合宣言は、製造者が製品について、適用される法令の要求事項を満たしていることを宣言する文書です。

RoHS指令に関しては、主に次の情報を記載します。

  • 製品を識別する情報
  • 製造者名・住所
  • 宣言の対象
  • 適用した法令
  • 適用した整合規格
  • 署名者
  • 発行場所
  • 発行日
  • 署名

EU適合宣言を作成することで、製造者は製品のRoHS適合について責任を負います。

技術文書には何を残す?

技術文書には、製品がRoHS指令へ適合していることを説明できる資料を保存します。

例としては、次のような資料があります。

  • 製品仕様書
  • 部品表
  • 回路図
  • 材料一覧
  • サプライヤー証明書
  • 含有化学物質調査結果
  • 分析試験結果
  • 適用除外の根拠
  • リスク評価
  • 適合評価手順
  • 製造工程の管理資料
  • 設計変更記録

大切なのは、単に書類を集めることではありません。

製品のどの部品・材料について、どの情報を根拠として適合と判断したのかを追跡できる状態にします。

製造者・輸入者・販売者の役割

RoHS指令では、製造者だけでなく、輸入者や販売者にも義務があります。

立場主な役割
製造者適合設計、技術文書、適合宣言、CE表示
EU域内輸入者適合評価や文書、CE表示を確認する
販売者CE表示や必要文書を確認し、注意を払って販売する
認定代理人委任された範囲で文書保存や当局対応を行う

輸入者は、製造者が適合評価を行い、技術文書・EU適合宣言を作成し、製品へCEマークを表示していることを確認する必要があります。

日本企業にもRoHS対応は必要?

RoHS指令はEUのルールですが、日本企業でも次のような場合は対応が必要になります。

  • EUへ完成品を輸出する
  • EU向け製品へ部品を供給する
  • EU企業へ材料を販売する
  • 顧客からRoHS適合証明を求められる
  • 世界共通仕様としてRoHS対応品を製造する
  • EU域内の販売会社を通じて製品を販売する

日本国内だけで販売する製品なら、RoHS指令は直接関係ないの?

EU法として直接適用されるわけではなくても、取引先の調達基準として対応を求められることがあるよ。

完成品メーカーがEUへ製品を輸出する場合、部品メーカーや材料メーカーにも化学物質情報の提供を求めるためです。

RoHS指令とREACH規則の違い

RoHS指令と混同されやすいEUの化学物質規制に、REACH規則があります。

REACHは、

Registration, Evaluation, Authorisation and Restriction of Chemicals

の略です。

化学物質の登録、評価、認可、制限を行い、人の健康や環境を保護するための幅広い制度です。

項目RoHS指令REACH規則
主な対象電気・電子機器化学物質、混合物、成形品
主な目的特定有害物質の使用制限化学物質全般の管理
規制物質RoHS附属書Ⅱの10物質・物質群多数の化学物質
判定単位主に均質材料規定により物質・混合物・成形品
主な義務含有制限、適合評価、CE表示登録、情報伝達、認可、制限など
関係電気・電子機器に特化幅広い製品・化学物質に適用

RoHSに適合すればREACHにも適合する?

RoHSの10物質を守れば、REACHも守ったことになる?

ならないよ。それぞれ対象や義務が異なるため、別々に確認する必要があるんだ。

RoHS指令へ適合していても、REACH規則の高懸念物質や制限物質に関する義務が発生する場合があります。

反対に、REACH規則の要求を満たしていても、RoHS指令の均質材料ごとの濃度基準を超えていれば、RoHS不適合となる可能性があります。

RoHS指令とWEEE指令の違い

WEEEは、

Waste Electrical and Electronic Equipment

の略です。

日本語では、廃電気・電子機器指令などと呼ばれます。

WEEE指令は、廃棄された電気・電子機器の回収、再使用、リサイクル、適正処理などを進める制度です。

項目RoHS指令WEEE指令
主な段階製品の設計・製造・販売製品の使用後・廃棄後
主な目的有害物質の使用を減らす廃電気・電子機器を回収・再資源化する
主な対象製品中の材料・物質廃棄された電気・電子機器
主な義務含有制限、適合評価回収、登録、報告、リサイクル
覚え方入れる物質を制限する捨てた後を管理する

RoHSは製品を作る前、WEEEは製品を捨てた後のルールというイメージ?

大まかにはその理解でいいよ。両方とも電気・電子機器の環境負荷を減らすための制度なんだ。

RoHS指令のメリット

人や環境への影響を減らせる

製品に含まれる有害物質を減らすことで、製造、使用、廃棄、リサイクル時のリスクを軽減できます。

リサイクルしやすくなる

有害物質が少ない製品は、廃棄物を処理・再資源化する際の負担を軽減できます。

EU域内で基準を統一できる

加盟国ごとに異なる基準を設けるより、EU共通のルールを使うことで製品流通を行いやすくなります。

サプライチェーンの化学物質管理が進む

部品・材料ごとに含有物質を確認する必要があるため、製品に使われている化学物質の把握が進みます。

環境配慮製品として説明しやすい

RoHS対応を顧客の調達条件や製品仕様として示せる場合があります。

ただし、RoHS適合だけで製品の環境性能全体が優れていると断定することはできません。

RoHS指令対応のデメリット・課題

部品・材料の調査に手間がかかる

製品を構成する多数の部品・材料について、含有化学物質を調べる必要があります。

代替材料によって性能が変わる場合がある

鉛フリーはんだなどへ変更すると、次のような影響が生じる場合があります。

  • 融点が変わる
  • 製造温度が上がる
  • 接合部の信頼性が変わる
  • 製造設備の変更が必要になる
  • 材料費が増える

分析や文書管理に費用がかかる

試験、証明書取得、技術文書の作成、サプライヤー監査などに費用がかかります。

適用除外の管理が難しい

適用除外には用途、製品カテゴリー、有効期限などの条件があります。

変更を見落とすと、以前は適合していた製品が不適合になる可能性があります。

サプライヤー変更の影響を受ける

部品番号が同じでも、製造場所、材料、工程が変更されると、化学物質の含有状況が変わる可能性があります。

RoHS指令への対応手順

1.製品が対象か確認する

まず、製品がRoHS指令における電気・電子機器に該当するか確認します。

対象外規定や特殊な用途も確認します。

2.製品を構成する部品・材料を洗い出す

部品表や設計図を使い、次のような情報を整理します。

  • 部品番号
  • 部品名
  • 材料
  • サプライヤー
  • 製造拠点
  • 均質材料
  • 適用除外
  • 証明書の有無

3.サプライヤーから情報を集める

適合証明書、成分情報、分析結果などを収集します。

4.リスクの高い材料を特定する

次のような材料は、特に注意して確認します。

  • はんだ
  • めっき
  • 電線被覆
  • 柔軟な樹脂
  • 塗料
  • インク
  • 接着剤
  • ガラス
  • セラミック
  • 難燃剤を含む樹脂

5.必要に応じて分析する

証明書が不十分な場合や、含有リスクが高い場合は分析を行います。

6.適用除外を確認する

適用除外を利用する場合は、該当する番号、用途、製品カテゴリー、有効期限を記録します。

7.技術文書を作成する

判断根拠を整理し、後から説明できる状態にします。

8.EU適合宣言とCE表示を行う

すべての適用法令への適合を確認し、EU適合宣言を作成してCEマーキングを表示します。

9.変更を継続的に管理する

次の変更があった場合は、再確認が必要です。

  • 部品変更
  • 材料変更
  • サプライヤー変更
  • 製造場所変更
  • 製造工程変更
  • RoHS規制の改正
  • 適用除外の期限変更

ITパスポート・基本情報・応用情報の試験対策

RoHS指令は、環境、法務、調達、グリーンITなどに関連する用語として、情報処理技術者試験で押さえておきたい内容です。

試験別に押さえたい内容

試験主な対策ポイント
ITパスポート電気・電子機器の特定有害物質を制限するEU指令
基本情報技術者対象物質、環境保護、WEEEとの違い
応用情報技術者サプライチェーン管理、REACH、CE表示との関係

試験で覚えたい重要用語

用語覚える内容
RoHS指令電気・電子機器の有害物質使用を制限する
均質材料機械的に異なる材料へ分けられない材料
最大許容濃度0.1%
カドミウム最大許容濃度0.01%
CEマーキングEU法令への適合を製造者が示す
EU適合宣言製造者が適合責任を宣言する文書
REACH規則化学物質を幅広く管理するEU規則
WEEE指令廃電気・電子機器の回収・再資源化を進める
適用除外特定用途について制限を免除する制度

試験問題で注目する表現

問題文の表現考えられる答え
電気・電子機器の有害物質使用を制限するRoHS指令
鉛、水銀、カドミウムなどを制限するRoHS指令
廃電気・電子機器を回収・リサイクルするWEEE指令
化学物質の登録・評価・認可・制限REACH規則
製品全体ではなく材料単位で濃度を判定均質材料
カドミウムの最大許容濃度0.01%
EU法令への適合を製品へ表示CEマーキング
RoHSの規制物質数10物質・物質群

RoHS・REACH・WEEEの比較

制度主な対象主な目的覚え方
RoHS電気・電子機器有害物質の使用制限製品へ入れる物質を減らす
REACH化学物質全般化学物質を登録・評価・管理する化学物質を広く管理する
WEEE廃電気・電子機器回収・再使用・リサイクル捨てた後を管理する

よくある誤解

RoHS指令は有害物質を完全にゼロにする規制である

RoHS適合と有害物質ゼロは同じ意味ではありません。

製品全体の濃度が基準以下ならよい

製品全体の重量で平均して判定するのではありません。

原則として、機械的に分離できない均質材料ごとに判定します。

RoHS指令の規制物質は6種類である

初期のRoHS指令では6種類でしたが、現在は4種類のフタル酸エステルを加えた10物質・物質群です。

カドミウムも基準値は0.1%である

カドミウムの最大許容濃度は0.01%です。

ほかの9物質・物質群は原則として0.1%です。

鉛フリーならRoHS適合である

鉛を使用していなくても、水銀、カドミウム、六価クロム、フタル酸エステルなどが基準を超えている可能性があります。

CEマークはRoHS専用の適合マークである

CEマークはRoHS専用ではありません。

その製品へ適用されるEUのCEマーキング対象法令への適合を示します。

RoHS適合証明書には公的な統一様式がある

取引先が発行するRoHS適合証明書には、さまざまな様式があります。

重要なのは名称ではなく、対象部品、対象物質、適用除外、法令の版などが明確になっていることです。

サプライヤーの証明書を一度取れば更新不要である

材料、工程、製造拠点、サプライヤー、法令などが変更される可能性があります。

定期的な更新と変更管理が必要です。

RoHSへ適合すればREACHにも適合する

RoHS指令とREACH規則では、対象・物質・義務が異なります。

両方が適用される場合は、それぞれを確認します。

RoHS指令とWEEE指令は同じ制度である

RoHS指令は、製品に使用する有害物質を制限します。

WEEE指令は、使用済み電気・電子機器の回収や再資源化を進めます。

日本企業には関係がない

EUへ製品を直接輸出しない企業でも、EU向け完成品に使われる部品や材料を供給していれば、取引先からRoHS対応を求められる可能性があります。

適用除外があれば永久に使用できる

適用除外には有効期限や用途条件があり、更新・縮小・終了される可能性があります。

まとめ

RoHS指令とは、EU市場へ出す電気・電子機器について、特定有害物質の含有量を均質材料ごとに制限するルールです。

RoHSは、Restriction of Hazardous Substancesの略として知られ、日本語では有害物質使用制限指令などと呼ばれます。

現在の中心となる法令は、Directive 2011/65/EUです。

RoHS指令では、次の10物質・物質群が規制されています。

  • 水銀
  • カドミウム
  • 六価クロム
  • PBB
  • PBDE
  • DEHP
  • BBP
  • DBP
  • DIBP

最大許容濃度は、カドミウムが0.01%、そのほかの9物質・物質群が原則として0.1%です。

この濃度は、製品全体ではなく、均質材料ごとに判定します。

例えば、電線であれば、銅導体、めっき層、樹脂被覆、印刷インクなどを別々の材料として考えます。

また、RoHS指令は対象物質を完全にゼロにする規制ではありません。

基準値以下である場合や、特定用途の適用除外が利用できる場合は、対象物質が含まれていても適合できることがあります。

RoHS2では、製造者による適合評価、技術文書の作成、EU適合宣言、CEマーキングが求められます。

RoHS指令と似た制度には、REACH規則とWEEE指令があります。

  • RoHS指令:電気・電子機器に使用する特定有害物質を制限する
  • REACH規則:化学物質を幅広く登録・評価・管理する
  • WEEE指令:廃電気・電子機器を回収・再使用・リサイクルする

最後に要点を整理します。

項目内容
用語RoHS指令
読み方ローズ指令、ロース指令
正式な中心法令Directive 2011/65/EU
一言でいうと電気・電子機器の有害物質を制限するEU指令
主な対象EU市場へ出される電気・電子機器
規制物質数10物質・物質群
鉛の基準0.1%
カドミウムの基準0.01%
その他8物質の基準0.1%
判定単位均質材料
均質材料機械的に異なる材料へ分離できない材料
RoHS1当初6物質を規制
RoHS2対象拡大、適合評価、CE表示などを明確化
適用除外特定用途について期限・条件付きで認められる
CEマークEU法令への適合を製造者が示す
REACHとの違いREACHは化学物質を幅広く管理する
WEEEとの違いWEEEは廃電気・電子機器の回収・再資源化
日本企業への影響EU向け製品・部品・材料を扱う場合に対応が必要
試験対策「電気・電子機器の有害物質使用制限」と覚える
覚え方RoHSは入れる物質、WEEEは捨てた後、REACHは化学物質全般

RoHS指令は、EUで販売する電気・電子機器の有害物質を制限するルールなんだね。

そう。鉛や水銀、カドミウム、フタル酸エステルなど、現在は10物質・物質群が対象だよ。

製品全体の重さで計算するのではなく、はんだや樹脂被覆などの均質材料ごとに確認するんだね。

そう。ほかの材料で薄めて基準を満たすことはできないよ。

RoHS適合でも、対象物質が完全にゼロとは限らないんだね。

うん。基準値以下の場合や、有効な適用除外を使っている場合もあるからね。

REACHは化学物質全般、WEEEは廃棄後、RoHSは電気・電子機器へ入れる有害物質を管理すると覚えればよさそう!

バッチリ。試験では「電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用を制限するEU指令」と押さえておこう。

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